WeChat(微信)の日本企業の活用事例

WeChat(微信)の日本企業の活用事例

WeChatに公式アカウントを開設し、情報発信を行えば訪日中国人観光客を呼び込めるため、WeChatを活用する日本企業が増えてきています。また、WeChatは帰国後の中国人が自国で自社製品を購入できるようECサイトへの誘導も可能です。

多くの日本企業はWeChatをどのように活用しているのかを見ていきましょう。

WeChat(微信)でできること

WeChat(微信)でてきること
WeChatは月間アクティブユーザー数11億人を突破した人気メッセージアプリ。現在ではメッセージアプリとしての機能だけでなく、決済機能「WeChatPay」やWeChat内アプリ「ミニプログラム」などが盛り込まれ、複合サービスとして展開しています。
運営しているのは中国のテンセント(腾讯、Tencent)。世界の時価総額ではトップ10に入るほどの巨大企業です。

日本に多く訪れる訪日外国人観光客のなかでも、4分の1以上をしめるほど人数が多いのが「中国人」。2018年には838万234人も訪れたそうです(出展:JTB総合研究所-インバウンド 訪日外国人動向(https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/))。これだけ多く訪れる中国人の多くが利用し、今や生活に欠かせないツールが「WeChat」。インバウンド需要を狙う企業にとっても欠かせないツールとなり始めています。

WeChatで何ができるのか

ベースはメッセージアプリというWeChatですが、日本で広く使われているLINEと同様にさまざまな機能が付加されています。
まずは特徴的な機能をしっかりと確認しておきましょう。

WeChatの決済機能である「WeChatPay」は日本をはじめ42の国と地域で利用できるQRコード決済。異なる国であっても中国国内と同様に決済できる「越境決済」ができるため、中国人観光客の多くが利用したいと考えています。
実際に2018年6月から2019年9月の間に日本での決済件数は108パーセント増で、加盟店数は665パーセント増と急成長。日本においては、マツモトキヨシやドン・キホーテ、新千歳空港、コンビニエンスストア、飲食チェーン店などさまざまな場所で導入が進められています(テンセントホールディングスの資料より)。

WeChat内で動くダウンロード不要のミニプログラム

さらに最近テンセントが力を入れているのが「ミニプログラム」。ミニプログラムはWeChat内で動作するアプリのようなもので、通常のアプリ開発よりも開発費が抑えられ、宣伝効果が大きいことから注目されはじめています。これまで自社の専用アプリを作っていた企業もWeChatのミニプログラムを用意するケースが増えているのだとか。

ミニプログラムを作ることで、クーポンの配布などができるほか、来店客とのつながりをキープするための仕掛けも用意されています。リピート率・満足度向上につながる取組が生まれつつあります。

WeChat(微信)の主な企業の活用事例

中国人観光客の増加にともない、WeChatPayが導入されていることが来店動機にもつながります。日本企業もこうした需要を踏まえ、WeChatPayへの対応が進められています。前述の通り、この1年間で加盟店数が665パーセントも増加。街中でも使える店が増えてきていることがわかります。

それだけではなく、集客方法としてWeChatを活用する企業も急増中。ドラッグストアのマツモトキヨシはWeChat上に多くのフォロワーを抱えています。

企業がどのようにWeChatを活用し、フォロワーを増やしているのか? ここからは企業の実際の施策やキャンペーンを見ていきましょう。

星野リゾート

キャンペーンやクーポンの配布などを実施しているわけではありませんが、行ってみたくなる写真・記事といった質の高いコンテンツを配信することでファンを獲得しています。また、外国人目線で星野リゾートを紹介したり、インフルエンサーが動画で星野リゾートの魅力をPR。

ECプラットフォームも導入し、直接WeChat内で購入できる仕組みも設けています。
星野リゾート

大丸松坂屋

WeChatPayを導入し、多くのファンを獲得しているのが大丸松坂屋です。WeChatPayで決済してもらえれば、公式アカウントを自動的にフォローさせることも可能。顧客データを蓄積したり、次回購入へのアプローチをかけるため、クーポンやメッセージを配信、さらにはECサイトへ誘導するといった利用方法ができます。

大丸松坂屋はWeChatPayで60元以上の決済をしたユーザーを対象に、最大1,000元のキャッシュバックキャンペーンを実施したり、キャラクター買い物袋をプレゼントするといったインセンティブを付与しています。
大丸松坂屋

セブンイレブン

インフルエンサーマーケティングをうまく活用しているのがセブンイレブンです。イベントの様子やインタビューなどを記事・動画で配信を行うといった取り組みを行っています。
セブンイレブン

マツモトキヨシ

キャンペーンを実施しフォロワーを多く獲得したのがマツモトキヨシ。WeChatは基本的にインセンティブを与えるキャンペーンは禁止されています。そこでマツモトキヨシは、アカウントに「1」と送ることを応募の条件にしたキャンペーンを実施。当選は後日メッセージで配信するとしました。
シェア・フォローなどを求めるキャンペーンは禁止されていますが、この方法なら規約に違反せず、多くのフォロワーを獲得できますよね。

今後禁止される可能性があるので、キャンペーンを打つときは事前に規約をしっかりと確認してから行いましょう。
マツモトキヨシ

キヤノン中国

WeChat内にECサイトを設け、販売につなげているのがキヤノンです。WeChatのサービスアカウントはECサイトと連動させることができるので、わざわざ外部のECページに飛ばさなくても、すぐに購入させることができます。

CRMを導入していれば、どの顧客が購買につながるのか? といったデータもとれるので、これから中国市場を狙う企業のマーケティングツールにもなり得るでしょう。
キヤノン中国

無印良品

中国でも人気の無印良品はキーワードに対応した自動返信機能を用意。フォローした最初にメッセージを表示させ、どのような内容なら答えられるかを明示しています。
無印良品

シャングリラホテル

うまく活用すると予約から決済までをWeChatでまかなうことができます。近くのホテルを検索して、予約サイトとWeChatを連携させれば、個人情報を入力させずとも決済まで完了させることができます。

シャングリラホテルはこの仕組みをうまく活用し、集客を行っています。WeChat内に各国ホテルの予約や予約確認できる仕組みを用意。代理店を経由する必要がなくなるので、送客料を削減できました。また、WeChat決済を用いれば、突然キャンセルしても取りっぱぐれがありません。

さらにリピーターは顧客ランクが上がる仕組みを採用。ランクに合わせた特別クーポンを配信するなどし、顧客の囲い込みもできています。

シャングリラホテル

ロッテ免税店

2016年1月から1ヶ月間、ブランド品や紅包のキャンペーンを実施したのがロッテ免税店。「抢红包2016」と送付すると、参加リンクが送られ、キャンペーンに参加できる仕組みを設けました。キャンペーンプラットフォーム「weimob」で作成されているため、キャンペーン参加の障壁が非常に低いのも特徴的です。
ロッテ免税店

Starbucks

WeChatPayを導入しているSTARBUCKSは、一部アプリ内でキャンペーンを実施。集団で協力するとクーポンが進呈されると行ったキャンペーンで、キャンペーンに参加した代表者が時間内に10人をWeChatなどで集め、全員が5元支払うとミッション成功、というゲーム性の高いものでした。ミッションを達成すると、5元のクーポンが送られる仕組みとなっていたため賑わったようです。
Starbucks

まとめ

日本企業だけでなく、さまざまな企業が参加しているWeChat。訪日中国人観光客をターゲットにするならぜひ導入しましょう。
導入はWebだけで完結しますが、申し込んでから開通までに約1ヶ月かかるケースもあります。できるだけ早く申し込み、WeChatで情報発信を行いましょう!


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