被写体によって写真の撮影の仕方は異なるもの。被写体が持つ魅力を伝えるにはどの角度からどのように撮影すればいいのかを知るためには被写体をじっくりと観察し、見つけ出さなければなりません。はじめは魅力をなかなか見つけられなくても、何回も撮影を行うことで徐々に見つけるコツをつかんできます。
とはいえ、いきなり手探りで魅力を見つけていくのはとても大変です。今回の記事では余白を意識したり、被写体によってどこに魅力がありがちなのかをご紹介します。
余白を意識
同じアイテムを紹介する場合でも、画面上にスペース(余白)をどのくらい作るかで見え方は大きく異なります。この見え方は、見ている人の心地よさにも直結する部分なので、注意深く決めていきたいところです。
例えば、見せたいモノを画面上部に配置して、下に多く余白を作ると「余白」に何があるのかを見ている人がイメージしやすくなり、動きのある画面になります。反対に見せたいものを画面下部に配置し、上部にたっぷりと余白を作ると安定感のある画面になります。画面上部は頭、画面下部は足を考えると、足をしっかりと作ると安定感が出る、というわけですね。
とはいえ、小さなものを画面のどちらかに寄せて配置するとそれだけでバランスが悪く見えてしまいます。大事なのは、頭と足のバランス=重心をしっかりととってあげること。少しずつ動かしながら心地よいポイントを見つけていきましょう。
画面中央にドンと配置するのは「日の丸構図」でよく用いられます。日の丸構図は大変安定感のある構図で商品をグッと見せることができるので迫力ある画面作りができます。しかし、余白が均一になるため、被写体によっては退屈で単調な印象になることも少なくありません。
余白をどのくらい作るかは流行もありますが、安定しつつ美しく見える、という自分の感覚を大事に撮影すると良いでしょう。
作例ではコーヒーカップを画面下部に配置しています。どうでしょう? ドシッと構えた安定感を感じませんか? 上部にスペースを設けることで、奥行き感も出るのでカップのその先にも目が行きやすくなります。
ガラスは透明感が大事
ガラス撮影で難しいのは透明感をしっかりと出すということ。ガラスのキラキラ感や透明感をしっかりと伝えられなければ、商品の魅力が正しく伝わっていないといえます。ただ、しっかりとコーディネートしなければキラキラ感、透明感があまり出ないだけでなく、映り込みなどを考えなければならないので、ガラスは難しい撮影なのです。
このほか、ガラスの透け感だけを重視すると透明なガラスの場合、そこにあってもなくても同じになってしまいます。そのため、透明な中にもグラデーションが感じられるよう角度や光のあて方を工夫すると、ガラスの表情が見えてきます。
作例のようなガラスを撮影する場合は、あえて電飾をガラスに反射させていますよね。ガラスに反射させることでグラデーションでガラスの輪郭がはっきりと見えています。電飾の位置、ガラスの位置などを調節しながら、ベストな角度を探しましょう。
ベースの光はサイド光や半逆光くらいがオススメです。ただ、半逆光の場合は光が白飛びしてしまう可能性があるので、光をどのように回すのかも調節しながら撮影を行いましょう。
ボケはオシャレだが加減が大事
雰囲気のある写真だったり、美味しそうな料理の写真を撮影する上で大事なのが「ボケ」。デジタルカメラで撮影する場合、絞りを調節すれば料理にピントが合っていて、背景がボケているような写真を撮影できます。ボケはピントが合っている部分と外れている部分でメリハリをつけやすいので、写真に奥行き感が生まれやすいのが特徴。そのため、特に料理写真においてはボケている写真が好まれているのです。
作例はケーキ・マカロンをメインに背景はボケています。どこか2階くらいのお店の窓側の席でお菓子を楽しんでいる様子が伝わりますよね。ほどよくボケていれば料理にしっかりと目が行きつつも、背景で雰囲気を演出できます。
ボケを扱うのは結構難しく、ボケすぎていれば何が何だかよくわからない写真になります。ボケを扱う際は、被写体はすべてくっきりと見えているくらいのボケ感が重要です。たとえば、ケーキのイチゴにしかピントが合っておらず、皿の上のマカロンなどがボケていると、もう「何が何だかよくわからない写真」になってしまいます。主役にしっかりとピントを合わせ、しっかりと全景を見せ、背景だけがボケるくらいの加減で調節を行いましょう。
野菜はペタっとした印象にならないよう注意
素材系で撮影が難しいのが野菜です。一歩間違うとペタペタ、しなしなとした印象になってしまうので、柔らかい印象を出しにくいのです。
きれいでやさしいグリーンを表現するには、野菜の新鮮さも重要です。グリーンが強すぎる野菜は、撮影してみると黒く沈んでしまう可能性もあるので、なるべく淡い色のグリーンを使用しましょう。
色の濃い葉をどうしても使用しなければならない場合、自然光だけでは足りないことも多いので、しっかりとレフ板でフォローし、明るさを担保しましょう。この場合、光は逆光よりも半逆光くらいの方が全体的に黒く沈みすぎません。
作例の場合はサイド光を用いています。真俯瞰で取る場合は、皿の縁などの影が内側などに黒く落ちないよう注意しましょう。もしも黒い影が落ちているならレフ板で解消してあげるのがオススメです。また、サイド光や半逆光を使うことでサラダの立体感も演出されるので、サラダなどを撮影するときは、このどちらかの光を使うようにしましょう。
撮影直前に霧吹きで水を少量かけてあげればみずみずしい雰囲気を作ることができますよ。
Instagramなら複数枚の写真を使う
Instagramのように複数の写真を投稿できるSNSが主戦場なら、複数枚を使って流れを見せてあげるのもオススメです。
作例はケーキを用意しました。ホールケーキから1ピース切り取った様子がわかる写真ですね。複数枚写真を使えるのなら、ホール→ピース、フォークで切るといったステップを見せてあげるのもオススメです。また、作例はなんとなく夕方のようなイメージを受けませんか? 写真全体の色合いもそうですが、撮影時間も関係してきます。夕方の光で撮影したときは写真全体に夕日の色が若干入るため、夕方っぽい雰囲気が漂います。もちろん、ホワイトバランスなどで調節を行えばある程度改善できますが、見せたいシーンと同じ時間で撮影を行えば、簡単に時間帯を演出できるのでオススメです。作例の場合、もう少しフォークは小さくてもいいかな、という感じですね。
お菓子を撮影するときは単体だけでなく、小物の用意もしっかりと行いましょう。コーヒーや紅茶とともに載せてあげるのがオススメ。しっかりと食べるシーンをイメージできるようなものをメインに持ってくると引きが強い写真になるでしょう。
まとめ
野菜、ケーキなど被写体によって撮影方法や光の回し方は異なります。ほかの被写体にも応用できるテクニックなので、さまざまな被写体でこのテクニックを試してみてくださいね。
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