写真撮影で大切なのは「光」。どの角度から光をあてるかによって、写真の印象は大きく変わります。光をコントロールするためにストロボなどを用いたりしますよね。しかし、自然光であっても商品を置く場所や角度を変えることで、キレイな写真を撮影できます。
今回は光の質や向きを理解して美しい写真を撮影する手法をご紹介。
光の質
写真撮影する上で重要になってくるのは光の質や向きを理解すること。これらを理解することで被写体の印象が大きく異なります。
光の質を意識して撮影しよう
光には向きや質が存在します。被写体に直接当たる光は「直射光」といって、強い光になりがちなもの。光の角度を変えると、影ができたりして立体感がある写真に仕上がります。また、何かを通過(カーテンなど)して被写体にあたる光は「透過光」、反射して被写体にあたる光は「反射光」と呼びます。直射光は硬い印象、透過光・反射光は柔らかい印象と覚えておくと良いでしょう。
自然光による商品撮影で直射光が使われることは稀で、多くが反射光や透過光です。曇りの日が撮影にはベストコンディションで、雲が太陽を遮ってくれるので、自然と透過光になります。
反射光はスタジオ撮影などでも用いられる「レフ板」を使うことで表現可能。こちらは家電量販店などで数百円で販売されているので、ひとつ持っておいても良いかも知れませんね。もしも急遽レフ板が必要! という場面なら、コピー用紙でも代用可能です。
自然光
ストロボやライトのような人工灯に対して、太陽光のことを「自然光」と呼びます。商品撮影はストロボなどを用いたスタジオで撮影を行うイメージがありますが、太陽光を用いた商品撮影も行われています。スタジオで撮影しない場合、窓から射し込む太陽光をうまく活用して撮影するのが一般的です。
ストロボなどは光を簡単にコントロールできますが、太陽光の場合、自分の思い通りに太陽光をコントロールできませんよね。太陽光での撮影のメリットはあるのでしょうか?
太陽光を使用するメリットは、実は扱いが簡単なことなのです。ストロボを用いた撮影の場合は光の向き、強さといった設定に高度な知識が必要となるため、素人が簡単に扱えるものではありません。しかし、太陽光の場合、被写体を動かしたり、太陽を少し遮るように布で太陽光を遮ってみたりすることで、簡単に光を調節できます。つまり、自分で動くことで調節できる、ということですね。
とはいえ、自然光で撮影するとなると、天候やロケーションなどが大きく関わってきます。いつも利用しており、よくわかっている場所ならいいですが、初めての場所で撮影するなら、事前にロケハンを行うなどの対策が必要でしょう。
このように多少癖のある自然光であっても、商品撮影では十分なクオリティで行うことが可能です。これから商品撮影をはじめる、という方はぜひ太陽光を使って撮影をしていきましょう。
状態
自然光は晴天の日、曇天の日でももちろん代わりますし、時間帯によっても角度が変わります。また、朝と夕方では光の色も異なるため、時間やカメラの設定などが重要になります。自然光を使用した撮影では、こうした太陽の影響を大きく受けてしまいます。撮影する場合、速やかに行うのはもちろんですが、「今の太陽の状況」をしっかりと把握してセッティングしましょう。
商品撮影を行う場合、午前中の撮影がオススメ。午前中は長い時間光が差すため、撮影時間を確保しやすいためです。また、夕方の赤い光ではカメラ側の調節が大変という理由もあります。午前中は一日のなかでもっとも癖のない光なので、商品撮影は午前中に済ませるようにしましょう。
光の質を操作する
理屈ではわかっていても、光の質が思い通りにいかないとき、光の質を操作できます。太陽の位置、雲の状況など自分でコントロールできないものを相手にするときはちょっとした工夫で、自分が求める状況を作れるのです。
例えば晴天で太陽光が強すぎる場合、カーテンやレース、薄い布などで光を遮ってみましょう。色のついたレースなどだと光の色も変わってしまうので、白いレースなどを用いるのがオススメです。
また、白いものに反射させると簡単に反射光を作り出すことができます。直射光が強すぎると、逆側が影で真っ黒になってしまうこともあります。そんな場合、逆側にレフ板を置いて光を反射させてあげると、ある程度、光が持ち上がって明るい写真を撮影可能です。
「直射光」
「透過光」
「反射光」
光の向き
続いて光の向きについて考えていきましょう。商品に光をあてる場合、どのような角度からあてれば良いのでしょうか? また、あてる角度によって印象は異なるのでしょうか?
商品撮影において意識したい光の向きは、被写体を中心に考えます。被写体に対して、どの角度から光が当たるかによって被写体の印象が変わります。光の向きは大きく「逆光」「順光」「サイド光」の3つに分けられ、それぞれに特徴があります。基本的に商品撮影において順光はあまり使わず、逆光かサイド光が中心となります。
逆光
やわらかくふわふわとした印象の写真に仕上げるなら逆光での写真がオススメです。幻想的な雰囲気を演出する場合も逆光が多く用いられます。Instagramにおいて、逆光写真は好まれる傾向にあるのでInstagramをメインのSNSとしている場合、逆光を取り入れるのが良いでしょう。
しかし、逆光で撮影するとフレアやゴーストといった現象が起こりやすくなってしまいます。そのため、逆光というのはあまり好まれていないのです。しかし、フレアやゴーストをあえていれることで、幻想的な雰囲気に仕上げることができるため、InstagramなどのSNSではあえてこれらを入れた写真が多く投稿されています。
順光
被写体に対し、まっすぐ正面から光が当たる順光は商品撮影においてはあまり向いているとはいえません。平面的な写真になりやすく、立体感がうまく出せないためですね。また、順光の場合、撮影者の影が入り込むことも多くなるので、できれば順光は避けると良いでしょう。
もしも順光の場合、自分自身が動いたり、商品を動かしたりして「逆光」か「サイド光」になるよう調節しましょう。
サイド光
商品撮影の基本であるサイド光はスタジオ撮影などでも用いられています。スタジオ撮影では、フラッシュを複数台用いてサイドから大量の光をあてていますよね。
従来のカタログ写真であれば、さまざまな角度から光をあて、あえて平面的な写真を撮る場合も多かったです。しかし、InstagramなどのSNSに投稿する場合、平面的な写真はユーザーの目が滑ってしまうため、立体的な写真gな求められるようになったのです。
サイド光を使うことで光が当たっている側は明るく、あたっていない側は少し暗く写るため、商品の質感や立体感を表現しやすくなります。商品を撮影するときはサイド光を意識していきましょう。
例えば手で持てるような商品を撮影する場合、サイド光になる位置に持ち上げて撮影するというのもオススメ。小物が不足すると感じる場合、商品を持つ手にネイルを施すなどするとアクセントになります。
もしもあまりにも光が強すぎて陰影がつきすぎる場合は、光をレースや薄い布などで遮って撮影するのがオススメです。
映り込みには注意
ガラスやプラスチックなど光を反射する素材の商品を撮影する場合、周りの景色や撮影者が映り込んでしまうことがよくあります。自分の姿、不要な背景が映り込まないよう、細心の注意を払いましょう。
撮影するときに気がついたら、角度を変えたり、カメラの周りを黒い布で覆ったりといった工夫で映り込みを防ぐことができます。
まとめ
光の質や向きを理解することは、商品撮影の基本です。普段撮影している場所が蛍光灯の下なら、ぜひ自然光が射し込む場所で撮影を行ってみてください。それだけで写真の印象が大きく変わりますよ。
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