Instagramにおいても、twitterのようにほかのユーザーの投稿を自分のアカウントフィードに表示可能な「リポスト」機能が備わっています。自ら写真を撮影したりして世界観醸成を行う必要がなく、手軽に投稿数を増やせる手法ですが、その分しっかりとブランディングしたり、計画を立てたりしないとオリジナリティが感じられないフィードになる恐れがあります。
写真に統一感がなかったり、テーマに一貫性がなかったり…。
結局なにを伝えたいのかわからないアカウントになってしまいがち。リポスト機能はどのように活用すれば上手にアカウント運用を行えるのでしょうか?
今回はリポスト機能を上手に活用し、世界観を作り上げているアカウントをご紹介いたします。リポスト機能を活用した運用を検討している方はぜひ参考にしてください。
統一した古着女子アカウント「古着女子」
古着をつかったファッションコーディネートを紹介している「古着女子(@furuzyo)」はリポスト機能を有効活用し、アカウントの世界観を醸成しているアカウントのひとつです。フォロワー数は24万9,000人。
ただリポストするだけでなく、リポストする条件を設定しているのが特徴。
「顔が写っていないもの」「くすんだカラーの写真(=ビビットな色合いの写真ではない)」といったルールに統一感があります。
一定の基準でリポストすることで、世界観を崩すことなく、アカウント運用ができています。アカウントを運用することで、同社が運営する公式通販サイトへ誘導することが目的のようです。
商品プレゼントキャンペーンで成功「AERA BLUE」
インフルエンサーを活用したマーケティングを行い、5,250人以上のフォロワーを獲得しているのが「AERA BLUE」(@aerablue_official)です。ブランド立ち上げ当初からSNSを通した集客を戦略として掲げ、インフルエンサーを活用したことで、売り上げが20倍になったそう。ストーリーには新作の入荷情報、ポストには商品と使い分けをしっかりとしているのが特徴です。
昨年夏にブランド1周年記念で実施したキャンペーンが話題となりました。そのキャンペーンとは同ブランドをタグ付けし、リポストした人のなかから抽選で3名にハッピーバッグをプレゼントするというもの。Instagramキャンペーンではユーザーに投稿を促すのが一般的ですが、下着ブランドという同社の特徴から、リポストを行うようにしたところ、1ヶ月弱のキャンペーン期間で150人以上が応募。フォロワーも一気に増え、3,000人を超えたといいます。
リポストもOKのキャンペーンでしたが、実際にただリポストされただけでなく、コメントも添えられたケースが目立ったようで、一般ユーザーの声も聞くことができたそう。ハッシュタグキャンペーンもよいですが、リポストを活用したキャンペーンが今後ますます増えていきそうです。
美女を集めて男女から注目された美女アカウント「美女美容事情」
美女ばかりを集めてリポストしている「美女美容事情」(@b_b_j.j)は男女から人気のアカウントです。運営はマイクロインフルエンサーのキャスティングなどを行っている株式会社レゾラム。
先ほどご紹介した古着女子とは異なり、顔を中心としたリポストを行っています。こちらもリポストするいっての基準を設けており、古着女子と比較すると、はっきりとした色味の写真が多い印象です。投稿には日本人だけでなく、海外の人からのコメントも目立ち、世界的に人気のアカウントだともいえるでしょう。海外もターゲットにすると母数が多くなるので、必然的にページビューが多くなります。その結果もあり、フォロワー数は34万5,000人にものぼります。
同社はマイクロインフルエンサーのキャスティングを行っていることから、こうしたアカウントを運用することで、抱えているインフルエンサーの質の高さを暗に見せられているのではないでしょうか?
キャンペーンに活用した公式アカウント「シルバニアファミリー」
リポスト機能はコミュニティを強化する使い方も可能です。上手に活用したのが玩具の「シルバニアファミリー」(@sylvanianfamilies_jp)。リポストを活用したキャンペーンを行っています。ユーザーが特定のハッシュタグをつけて投稿した写真のなかから、公式アカウントが良い写真を選びリポストするという内容です。
キャンペーン特設ページにユーザーが撮影した写真が掲載されたり、公式アカウントにリポストされることが報酬となっています。シルバニアファミリーとファンとの結びつきを強くするキャンペーンだといえるでしょう。公式アカウントに掲載されるとなると、投稿するモチベーションも上がりますよね。プレゼントキャンペーンも同時に行われているケースもありますが、自己顕示欲を満たしてあげるキャンペーンだけでもすでにファンが多くいる場合は効果があるでしょう。公式アカウントに写真が掲載されたこと自体をユーザーが拡散させてくれる、という効果も期待できます。
コミュニティ作りで仲間を増やせるアカウント「ベジ部」
コミュニティを作ることで、仲間を増やすことができるアカウントが「ベジ部」(@vege_bu)です。有機野菜を使った料理やオーガニックコスメを紹介しており、それらが好きな人同士がつながる場を提供しています。
こちらもリポストする写真には色や内容など一定のルールを設けており、料理やコスメなどさまざまなジャンルの写真がリポストされていますが、全体的に統一感はしっかりと保たれています。
ベジ部はFacebookグループも別途運営しており、Facebookグループのコミュニティへの誘導がアカウントの主目的。実際にコミュニティは現在213人が参加中です。
インテリアの参考例でユーザーをつなげる「IKEA」
スウェーデン発祥の家具・生活雑貨の販売店「IKEA」(@ikeajapan)はリポストすることで、生活体験をさせ、ファンを増やしたアカウントのひとつです。IKEAで販売されている商品は低価格でオシャレなデザインが多いため、ファンが多いですよね。実際にInstagram上ではIKEAの製品を上手に活用したインテリアを掲載しているポストが数多く見られます。
そんなIKEAの公式アカウントは雑誌のカタログをイメージ。全体的に統一感を持たせ、IKEAの世界観のなかで商品のPRを行っています。2015年8月にアカウントを開設して以降、2019年5月末現在70万人のフォロワーがいる人気アカウントとなりました。ユーザーが投稿したオシャレな写真や理想的なインテリアなどを定期的にリポストすることで、IKEAファンとユーザーをつないでいます。
Instagramコミュニティーアカウント「igersjp」
Instagramは別企業のアカウントやインフルエンサーの投稿をシェアすることは当たり前です。元の投稿者のアカウントを明記し、リポストする手法を活用しているのが「IGersJP」(@igersjp)。
良質なコンテンツを作り上げるには、良質なポストを収集するのが近道だったりします。ほかのインフルエンサーなどが投稿する良質なポストを、自社のアカウントにリポストすることで、自社アカウントの世界観を醸成することも可能で、収集するポストのセンスがよければファンを獲得することも可能です。アカウントにつくファンはエンゲージメントが高いのも特徴なので、積極的に獲得していきたいところです。
住まいや暮らしに役立つアイディアを集めた「シンプルホーム」
住まい系のコンテンツを展開するメディアの「シンプルホーム」(@simplehome_official)は、リポストでメディアの雰囲気にマッチする写真を多数掲載しています。
同社のアカウントの特徴はふたつあります。ひとつは「インスタ映え」を狙わないこと。ふたつめは「ハッシュタグ」です。
Instagramに一般ユーザーが投稿する写真はインスタ映えを狙い、派手な写真になりがち。しかし、あまりにも生活感がない写真ばかりが並んでも読者の共感を得ることはできません。そこで同アカウントでは生活感をしっかりと感じながらも、シンプルな写真を収集。これによって読者が共感を得やすくなっているのです。
またハッシュタグにもかなりのこだわりがあるそう。ハッシュタグごとにいいね数やコメントなどを集計。どのようなハッシュタグが最適なのか研究を重ねたそうです。
アカウントの運用する場合、オリジナルコンテンツにこだわりがち。しかし、リポストであってもきっちりと運用ルールを決めて世界観醸成ができればファンがついてくることがわかります。
ストリートスナップのように運用「ユニクロ銀座店」
ユニクロ銀座店(@uniqlo_ginza)のアカウントは、一般ユーザーの投稿をファッション誌のように再編集した内容。一般ユーザーの投稿をリポストし、ファッションカタログにように見せています。
商品を置き撮りしたり、モデルが着用しても親近感はわきません。ストリートスナップが人気なのは、一般のユーザーがオシャレに着こなしているから。街を歩くオシャレな一般人のコーディネートは自分と重ね合わせやすいため、参考にしている人が多いのです。
同アカウントでは#ユニジョや#上下ユニクロ部以外、#ユニクロベビー、#ユニクロアウター族といったハッシュタグを提案しており、これらのハッシュタグに投稿された写真のなかからリポストしています。ユニクロ銀座店のアカウントに紹介されたい! というモチベーションで投稿している人もいるそうで、戦略としては正しそうですね。
料理の写真を紹介する「クッキングラム」
旧クッキングラム(現在のフーディーテーブル(@foodietable.jp))は、レシピブログなどで知られるアイランド株式会社が運営。インスタグラマーコミュニティへの誘導が目的のアカウントです。「#フーディーテーブル」には8万件以上の投稿が寄せられるなど、かなり人気のアカウント。
同社が運営するコミュニティやハッシュタグに投稿されたもののなかから、担当者が料理やレシピを選びリポスト。ハイクオリティな料理ばかりなので、まるで料理雑誌のような写真がずらりと並びます。リポストされたものには、リポスト元のユーザーからコメントが寄せられたり、リポスト元のユーザーのフォロワーからのお祝いコメントが並ぶなど、「いいね数」「コメント数」が比較的多いのが特徴です。
特定のハッシュタグに投稿する企画を開催したり、同じハッシュタグを使い続けることで、ユーザーとの相互フォローを増やすほか、企業とコラボしたInstagram企画も行っています。
こうした取り組みを行うことで、Instagramを活用したコミュニティを生むことができています。コミュニティを運営している方はリポストアカウントを作ってみても良さそうですね。
まとめ
自らがオシャレな写真を撮れなくても、自らがオシャレな生活をしていなくても、リポストメディアであれば他社の優れた投稿の尻馬に乗ることができます。この方法はInstagramならではだといえますね。
リポストする際も運用ルールや基準をしっかりと設け、世界観を作り上げることが重要です。闇雲に人気アカウントのリポストをするのではなく、しっかりと伝えたい情報が掲載されているポストをリポストしていくことで、徐々にファンを獲得することができるでしょう。
また、独自のハッシュタグを準備し、特定のハッシュタグに求める投稿が集まる仕組み作りも有効です。まだ使われておらず、シンプルなハッシュタグを用意すると良いでしょう。
当然、リポストする際は、元のユーザーへの礼儀やリスペクトを欠かしてはいけません。このあたりは当然のマナーとして押さえておきましょう。
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