自社の商品・サービスをPRするというのは、どの企業も抱えている悩みですよね。twitterやInstagramといったソーシャルメディアが幅広く普及し、多くの人が利用している現代では、「インフルエンサーマーケティング」を取り入れる企業が増えてきています。
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーを起用したマーケティングのこと。インフルエンサーとは「影響を与える人」という意味で、SNS上でフォロワーが多く、発信力・影響力のある人を指す言葉として使われています。芸能人を起用したPRも効果がありますが、いわゆる素人でもフォロワーの多い人は同等の影響力があるため、多くの企業が活用しているのです。
特にファッションなどトレンドの変わりやすい情報はtwitterやInstagramのインフルエンサーから得ていると回答する人も増えてきていることから、インフルエンサーマーケティングはとても有効な手法。ファッションは、その服を着用することで自分の生活がどうなるのか、自分がどう変われるのかを考える人が多いそう。そのため、自分の理想を体現しているインフルエンサーを参考にする人も多く、インフルエンサーの着用画像は高い訴求力を持っています。
とくに1982年から1987年生まれの流行と個性に敏感なプレッシャー世代は、一般的な広告や宣伝に左右されにくい傾向があります。モノ本来の価値を考えるため、こうした世代に商品を売り込むにはインフルエンサーが重要になるのです。
10代から20代女性をターゲットにしたファッションブランドは、インフルエンサーを積極的に登用しています。時には大々的にインフルエンサーを起用するなどし、これらの世代にアプローチしているのです。
実際に効果が出ていることから、今後もインフルエンサーマーケティングは積極的に行われていくことでしょう。今回の記事では実際にインフルエンサーを活用したアパレルブランドやアプリなどを見ていきましょう。
インフルエンサーとのコラボ商品
従来のテレビ、映画、広告は芸能人などの「完璧な女性」が中心でした。多くはモデル体型で、服もしっかりと着こなしていますよね。しかし、実際に服を着用するのは一般の女性たちです。
また、最近ではダイバーシティ(多様性)の受け入れが重要。多種多様な人たちが身につけている様子を見せられるInstagramは、ファッションとの親和性が非常に高いのでオススメなのです。
1.ショッピングSNS「PARTE」とアパレルブランド「BonnSylph」による共同発表
ショッピングSNSプラットフォーム「PARTE」とアパレルブランド「BonnSylph」は共同で、人気ファッションブロガー・インスタグラマー数名とのコラボ商品の限定販売を開始しました。
同社は2018年秋に始めてインフルエンサーとのコラボ商品を販売。2019年4月に発表されたのは第2弾の告知となります。
メインの企画はインフルエンサーが行い、生産をBonnSylph、販売はPARTEが担うというのが今回のコラボ企画。消費者に近いインフルエンサーが商品の企画から行って、一からデザインを行います。トレンド感、着心地、機能性などインフルエンサーのこだわりを詰め込み、商品を開発しました。
参加したインフルエンサーは@rococo39さん、@nanapanda517さん、@cestmignon_mauさんの3名で、それぞれのこだわりを詰め込んだ衣服を多数販売しました。
2.Heather公認インフルエンサーによるプロデュース商品
計8万フォロワー以上を持つHeather(ヘザー)公認インフルエンサーによる、プロデュース商品を2019年3月25日から販売したのが株式会社アダストリアが展開する「Heather(ヘザー)」。
「Heather(ヘザー)」は、「前向きな女の子を応援する」をコンセプトに等身大のスタイルを提案するブランド。Heatherファンの多くは日常的にSNSを利用していることから、普段からHeather公式アカウントではファッション情報を発信しています。おもしろいのが、Heatherでは人気の店舗スタッフを公認インフルエンサーとして認定しており、25人が活動中。店舗とSNS両方で売り上げに貢献しているのです。
今回はそんな公認インフルエンサーのなかでも特に人気のあるふたりのスタッフが商品を初プロデュース・販売を行いました。プロデュースを行ったのはNENEさん(フォロワー数:4万8,000)とaichiさん(フォロワー数:4万1,000)のふたり。
プロデュースした商品はトップスとミニスカートの2種類で、インスタ映えを強く意識したモノ。双子コーデも可能なデザインとなっており、人気を博しました。
ファッション系SNS「WEAR」と女性ファッション雑誌による連動PR
多くのファッションが閲覧でき、コーディネートの参考になる「WEAR」は女性ファッション誌とコラボし、連動企画を行いました。URBAN RESEARCH、DOOARSなど人気の対象11ブランドを着用したコーディネートをWEARに投稿するモノでした。
コラボしたのは宝島社のファッション誌「InRed」「Sweet」「リンネル」「SPRiNG」「mini」の5誌。いずれもインフルエンサーを募集するという目的で参加したようです。コンテスト形式で開催しており、大賞に選ばれると雑誌公認インフルエンサーとして活動でき、誌面の様々な企画に出演できるというのです。
ファッション好きならたまらない内容だったことから、多くの人が参加しました。
1.sweet(スウィート)うえむら あやのさん
Sweetで大賞に選ばれたのがうえむらあやのさん。Sweet編集部はサイズ感や色のバランスがハイセンス。スタイルを活かした着こなしやアイテム選びも良い、とコメント。うえむらあやのさんは今後Sweet上で活躍していくことでしょう。
2.リンネルna.さん
リンネルの大賞に選ばれたのはna.さん。リンネル編集部は着心地の良さやデザインだけでなく、どこに誰とでかけるのかをイメージしているのも、素敵だと思いましたとコメント。na.さんはInstagram上でもさまざまなコーディネートを投稿しており、徐々にフォロワーも増え始めています。
3.InRed(インレッド)Creamさん
InRedの大賞に選ばれたのはCreamさん。InRed編集部は、期間中の投稿すべてに目がとまりました。自分のスタイルを確立されていて、女っぽさが光るコーデが素敵だとコメント。CreamもInstagramを積極的に更新しており、Instagramのフォロワー数は3,600人以上、1投稿につき100以上のいいね!が付き、コメントも頻繁にとうこうされています。
特徴的なのはきちんとコーディネートについてコメントを書いているところ。服が持つ機能面や自分がどこに気に入っているのかも丁寧に記載しています。
4.SPRinG(スプリング)Sporo*さん
SPRiNGの大賞に選ばれたのはSporo*さん。18歳と7歳の母親で、WEARには多数のファッションを投稿しています。編集部はシンプルがベースにあり、肩の力の抜けたメンズライクな雰囲気がSPRiNGと親和性が高いと感じましたと評価。実際にSporo*さんはメンズライクなファッションをWEAR上に多く投稿しています。
5.mini(ミニ)エリカさん
miniの大賞はエリカさん。編集部はメンズライクな小物使いも抜群に上手で、シンプルな中にもテクニックの光るストリートコーデに脱帽です!と手放しに褒めています。エリカさんはメインはWEARで活動しており、さまざまなファッションを投稿中。WEARでのいいね!数も多いので、多くのファンを抱えています。
Ray公認インフルエンサー
雑誌Rayも公認インフルエンサー制度を設けています。特設ページも設け、SNSでいいね!がつくコーディネートは何が違うのか? どのように撮影すれば良いのか? ということを詳しく紹介しています。
そんなRay公式インフルエンサーは15人。随時声がけをおこなっており、今後も増やしていく予定だといいます。「#ray公認インフルエンサー」「#rayおしゃれアイディア」のふたつのタグをつけて行われた投稿は編集にリポスト(リグラム)されるという仕組みを設けています。
「#ray公認インフルエンサー」には1,500件以上の胃投稿が行われており、Ray公式インフルエンサーとして活動している人はもちろん、公認インフルエンサーになりたい人も投稿を実施。ファッションだけでなく、小物、メイク、グルメに至るライフスタイルすべてが投稿されています。
日本発のバーチャルインスタグラマー、imma.gram
VTuberというバーチャルYouTuberが2017年から流行っていますが、インフルエンサーもバーチャルの時代へと突入しました。バーチャルインスタグラマーとは、実際には存在しない、CGで制作された架空のインフルエンサーのこと。バーチャルインスタグラマーの代表が日本発の「imma.gram」です。
2018年7月にアカウント開設され、2019年6月には6万8,000人以上のフォロワーを獲得している人気アカウントです。実写で撮影した身体にCGの顔を合成するという手法で運営されており、「CGWORLD」ではヴァーチャルモデルとして誌面にも起用されました。
デジタルインフルエンサーの先駆けとも言える存在が、ロサンゼルス発のバーチャルインスタグラマー、ミクエラ・ソウザ。スタイリッシュな着こなしが話題となり、「PRADA」や「CHANEL」といったハイブランド、「UGG」や「SUPREME」などカジュアルブランドまでさまざまなコーディネートを披露しています。
楽天市場のファッションアンバサダー
楽天市場ではショップと楽天ファッションを発信するアンバサダーを募集しています。第5回の開催では18店舗70人のアンバサダーが誕生し、Instagramでトレンド感ある着こなしを発信しています。
ショップアンバサダーに選ばれると、該当ショップのおすすめアイテム10,000円相当が半年間にわたり毎月届くので、継続したファッション情報の発信ができるようになります。
まとめ
インフルエンサーを活用する際は、提供感をあまり出さない、というのがポイント。ユーザーはメーカーが透けて見えるコメントには共感しません。なぜインフルエンサーが人気なのか? それは自分と目線が近いから。メーカーが指定したコメントを出させるのではなく、インフルエンサー個人が感じたコメントを掲載させることがインフルエンサーマーケティングでは重要です。
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