化粧品のインフルエンサーマーケティング事例10選

 

化粧品を比較検討し、購入にいたる消費者の行動には、Instagramや口コミサイトといったものが大きな影響を与えています。特にインフルエンサーと呼ばれる数多くのフォロワーを抱えるユーザーの投稿には注目が集まっており、インフルエンサーが紹介する商品は広告ではなく、影響力のある一消費者の意見として受け取られるため、ブランドの販促活動に欠かせない存在となっています。

フォロワー数が1,000から10万ほどの美容系(ビューティ系)インスタグラマーは、スキンケアやメイクアップなど1分野に特化して投稿を行っている人も多く、フォロワーから信頼されている傾向にあります。また、エンゲージメント獲得率が高いという傾向もあることから、企業は多くインフルエンサーを活用し、プロモーションを行っているのです。

最近ではインフルエンサーとコラボした商品を販売する化粧品メーカーもあるほどで、インフルエンサーの影響力はあなどれません。今回はインフルエンサーを活用した化粧品のプロモーションを見ていきましょう。

■インフルエンサーをPRに起用

数千から数万のフォロワーがいるインフルエンサーは、芸能人、モデル、タレントなどと変わらないほどの影響力があり、なおかつこれらよりも安価で起用できることから、起用する企業は多いのです。まずはインフルエンサーを起用したプロモーションを行った事例を見ていきましょう。

[ブランド]CandyDoll

CandyDoll_official
CandyDoll_official(@candydoll_official)公式Instagramより

ファッションモデル・YouTuberとして活動する「佐藤ノア」さんを起用したプロモーションを行ったのがCandyDollです。

佐藤ノアさんはいくつもの肩書きを持ち、マルチな活動をしている人で、10代の女性を中心に熱狂的なファンがいるのが特徴。そんな佐藤さんが商品を紹介すると177件ものコメントがつき、同商品をどのように使えば良いのか? 使用感はどうなのか? 現在使っている化粧品はどのようなものなのか? という質問が相次ぎました。

▼佐藤ノアさんInstagram

佐藤ノア(suga/es)
佐藤ノア(suga/es)(@sugar_79)さんInstagramより

[雑誌]ViVi

mariko
mariko(@marinstgm)さんInstagramより

ViViは公認のインスタグラマーグループ[ViVigirl]を組織しており、50人ほどのインスタグラマーが在籍しています。商品の紹介がフィードに流れると、「いいね!」が数千件集まるなど、高い影響力を持っているのです。

発信力のあるインスタグラマーのなかのひとり、marikoさんは、商品を紹介すると即日完売するほどの盈虚力。Instagramの更新頻度も高く、フォロワー数は6万7,000人以上の大人気インスタグラマーです。職業としてはフリーモデル。自身のファッションや旅行の様子などを多く投稿しています。

▼marikoさんInstagram

mariko
mariko(@marinstgm)さんInstagramより

公式アンバサダーとしてインフルエンサーを募集

企業の新たな宣伝の形として「アンバサダー・マーケティング」が注目されています。商品やサービスのファンに宣伝を行ったもらおう、というのがアンバサダー・マーケティング。テレビCMなど従来の広告が届きにくくなったことから、一般消費者に宣伝を依頼するよう変わりつつあります。

SNSの普及によって、影響力のある「一般人」が登場しました。一般人の意見は、一般の消費者の意見として捉えられ、多くの人の消費行動に影響を与え始めています。こうした流れをとらえたのがアンバサダー・マーケティングで、ついに企業は一般消費者に宣伝を依頼し始めたのです。

そんなアンバサダー・マーケティングを活用している企業、5社を見ていきましょう。

[ブランド]ドクターズコスメ

アンプルール
アンプルール(@ampleur_official)公式Instagramより

ドクターズコスメ「アンブルール」では、公式アンバサダーを募集しました。美白化粧水や美容乳液ゲルを1ヶ月に1回×3回と、隔月でオススメのアイテムが送られてくるというもので、4ヶ月間月1回以上のペースで投稿してもらうというもの。

インフルエンサーとしてはアンバサダーになることで、箔がつきますし、企業としても影響力のあるインフルエンサーに宣伝してもらえるとあって、多くの応募があったようです。

[ブランド]KOSE「米肌」

ミュア
ミュア(@myua11)さんInstagramより

KOSEの米肌もアンバサダープログラムを実施。抽選で限定イベント「アンバサダーミーティング」に招待するほか、「スペシャルモニター体験」を進呈しています。このアンバサダープログラムは、「米肌をすでに愛用している人」「米肌に興味はあるけれどまだ使用していない人」が対象。

「#米肌アンバサダー」には1,700件以上の投稿があるので、多くの人が米肌アンバサダーとして活動していることがわかりますね。

[ブランド]ファンケル

凜ママ(コスメコンシェルジュ)
凜ママ(コスメコンシェルジュ)(@rinmama.cosmeconcierge)さんInstagramより

ファンケルもアンバサダー制度を導入。多くのインスタグラマーがファンケル製品のPRをおこなっています。Instagram上の「#ファンケルアンバサダー」には3,000件以上の投稿が行われており、インスタグラマーは日々さまざまな商品の投稿を行っています。

さまざまな年代の人が参加しており、いいね!数、コメント数も多いので、インフルエンサーの影響力がわかりますよね。

[ブランド]CandyDollー益若つばさプロデュース

先ほどご紹介したCandyDollもアンバサダーキャンペーンを実施中。Instagram、twitterでCandyDollのコスメの魅力を発信してくれる人も募集しています。特典としては「新商品」が進呈されるほか、「CandyDollのコスメを定期的にプレゼント」「新製品をいち早く試せる」といったもの。

「#CandyDollアンバサダー」にはまだ350件ほどの投稿しかありませんが、これから増えていくことが予想されます。

[アプリ]FAVOR

パペルック株式会社が運営するコスメアプリ「FAVOR」でもアンバサダーを募集。20代から30代の働く女性がメインユーザーのコスメメディアで月間100万人以上が利用するアプリです。ハッシュタグ「#favorアンバサダー」には500件以上の投稿があり、さまざまなジャンルのコスメを試した感想が寄せられています。

編集部の意見ではなく、一般消費者の意見という点は、コスメメディアにとってはとても良いポイントだといえるでしょう。

インフルエンサーとなる人気漫画家によるインスタ連載

Instagramは写真の投稿だけではありません。マンガのようにイラストの投稿も非常に人気です。インスタグラマーとコラボしたマンガ連載を行っているアカウントもあるので、ご紹介いたします。

[雑誌]VOCE

VOCE編集部
VOCE編集部(@vocemagazine)公式Instagramより

美容雑誌VOCEの公式アカウントでは、雑誌の紹介やメイクアイテムの紹介を行っているほか、「それゆけ!美人道」というマンガ連載も行っています。このマンガは岡山里香さんとコラボしたもので、実際に岡山さんが取材を行ったり、体験した内容をマンガにしています。ひとつひとつに対してきちんと説明が加えられている文字が多めのマンガで、1投稿につき1,000以上のいいね!を獲得しています。

モデルやメイクアイテム以外のVOCEの投稿だと、500いいね!前後ですが、マンガの投稿は1,000いいね!を超えているので、インフルエンサーとのコラボレーションはより多くの人に見てもらえているということがわかりますね。

VOCE編集部
VOCE編集部(@vocemagazine)公式Instagramより

マイクロインフルエンサーを新商品発表会に招待

新製品の発表会などにマイクロインフルエンサーと呼ばれる学生や社会人などを招待し、事前に製品をPRする戦略をとっている企業やイベントなどもあります。

インフルエンサーは幅広い層に対して影響力を持っているのに対し、マイクロインフルエンサーは特有のコミュニティにおいて、強い拡散能力をもつインフルエンサーのことです。たとえば、カメラ業界の最新情報は興味のない人にとっては不要ですが、カメラ好きにとってはいち早く知りたいもの。このように特定のコミュニティにおいて影響力のある人をマイクロインフルエンサーと呼びます。

また、マイクロインフルエンサーの特徴は、フォロワーに具体的なアクションを起こさせる可能性が高かったり、アクションを起こすまでのスピードが速いという特徴があります。マイクロインフルエンサーは普通のインフルエンサーよりもフォロワーに近い存在であるため、ひとつひとつの発言がすぐにアクションを促しているのだと考えられます。

インフルエンサー・マーケティング・プラットフォームのマーカリー(Markerly)が行った調査によると、スポンサー付きではないInstagramの投稿に対する「いいね!」の割合は、フォロワー数1,000未満のアカウントでは8%、フォロワー数1000から1万のアカウントでは4%になるというのです。フォロワー数1000人未満のアカウントの方がエンゲージメントが高いということですね。

だからこそ、エンゲージメントの高い、マイクロインフルエンサーに絞って活用している企業も多いのです。ここからはマイクロインフルエンサーを活用した企業の例をご紹介いたします。

[イベント]COSME TOKYO

COSMETOKYO
COSMETOKYO(@cosme_tokyo)公式Instagramより

COSME TOKYOではオフィシャルリポータ-を募集しています。COSME TOKYOは、世界各国の化粧品が出展する化粧品の専門展。本来であれば業界関係者しか入場できないこの展示会ですが、Instagramやブログなど影響力のある個人であれば参加し、最新コスメを体験・発信できるオフィシャルリポーターになれるのです。

オフィシャルリポーターは展示会に来場し、35カ国780者の最新コスメを見られるほか、見た内容はSNSに投稿OK。メディア側の人間として出展製品を取材できます。投稿した最新コスメ情報を自分のアカウントに投稿できるので、細かな感想などフォロワーと交流も行えますよね。

特典は2つ。「出展企業のコスメ詰め合わせ」「ベストリポーターに選ばれる(5名)」があり、積極的な応募を呼びかけています。

[サイト]コスメラウンジ

COSME LOUNGE (コスメラウンジ)
COSME LOUNGE (コスメラウンジ)(@cosmelounge)公式Instagramより

est、SOFINA iP、bareMinerals、HYALmoistの4ブランドが参加する「大阪キャラバンラウンジ」に50名招待を行っているのが、コスメラウンジです。

複数ブランドのプレゼンテーションが体感できるコスメラウンジの人気イベント「キャラバンラウンジ」。大阪で開催となり、est、SOFINA iP、bareMinerals、HYALmoistのプレゼンテーションを楽しむことができます。

このほか、コスメラウンジではモニター募集キャンペーンも積極的に実施。基本的にはリポスト(リグラム)を設けるものとなっていることから、コスメラウンジの認知を高めています。影響力のある個人が、コスメラウンジの名前とともに投稿を行うことで、同媒体の拡大を狙っていますよね。

まとめ

芸能人、モデル、タレント、芸人のようにひとつのジャンルに特化しすぎていないインフルエンサーの投稿よりもユーザーとの距離が近い、いわば素人のほうがエンゲージメントが高い傾向にあります。専門分野が深くなればなるほどその傾向は強くなりますよね。だからこそ、企業は安価でエンゲージメントの高いインスタグラマーを積極的に登用しているのでしょう。

インスタグラマーと良好なパートナー契約を築くためには「対等なパートナーとして接する」「押しつけない」「世界観を能動的に理解する」という3つのポイントが重要です。
いくら芸能人ではないからといって、御用聞きのように捉えてしまうとインフルエンサー本来の魅力を発揮できません。ともに製品・サービスを広めるパートナーとして接することが大切です。同じように、内容について制限を設けすぎると、インフルエンサー本来の投稿ではなくなるため、フォロワーから見透かされてしまいます.ある程度自由に行える部分を遺しておくのは大切です。
また、インフルエンサーが構築する世界観を能動的に理解することも大切。インフルエンサーが行うアウトプットを積極的に理解しましょう。

インフルエンサーを活用したマーケティングは今後ますます増えていくでしょう。だからこそ、しっかりとインフルエンサーの活用方法は理解しておきましょう。


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